(一)角頭祭祀(交替制)

  關渡宮には「庄頭廟」(庄代表の廟)としての役割と、地域の廟としての役割があります。庄頭廟としては、年間行事の業務を祭祀五角頭が分担し、祭典の経費は關渡宮周辺の集落と共同で分担します。元来關渡の集落には3月23日に媽祖を祭祀する習慣はなく、「媽祖角」と周辺の信徒で自発的に供物を用意したことから始まっています。それまでの關渡宮の祭典には、媽祖を集落に迎え入れる8月6日の「尪公祖」の行事がありましたが、民国59年に蒋経国が「統一拝拝」(統一祭祀)運動を推し進めた結果、3月23日に一括して祭典が挙行されるようになっています。現在の媽祖行事は今でも關渡里・一徳里の事務局が共同で主催し、關渡宮は協力団体に留まっています。そのため、民国49年の媽祖生誕千年記念行事や民国94年のSARSの際など、特殊なケースを除き、關渡宮がこれらの行事を主催することはありません。

  地域の廟としての役割には、普渡五角頭の五境巡りがあります。五角頭とは關渡・嗄嘮別・北投・石牌・唭哩岸の5地域の庄からなる集落連合を指し、關渡宮媽祖の祭典ではこれらの地域を巡ります。これら地域では交代で中元普渡の祭典を主催し、釈教法師に儀式を依頼して、供物には豚を殺して捧げる等、盛大に執り行われます。

(二)媽祖遶境(媽祖が街を巡る行事)

  「媽祖遶境」の行事では慈悲をもって衆生の普渡が願われ、信徒にとって重要な拠り所となっています。行事の最中には神輿の行進に伴って銅鑼や太鼓が叩かれ、至る所で線香を上げて媽祖を迎え入れ、爆竹を鳴らし、敬虔な信徒は跪いて媽祖を迎えると共に祈りを捧げます。台湾北部の年間行事には關渡の媽祖を迎え入れる行事が至るところで見られ、主神として祀る場合と、他の神明と共に祀られる場合があります。これら地域には關渡宮五角頭、東北角(新北市双渓区和貢寮区)、北海岸(淡水・三芝・石門・金山・万里・基隆)、瑞芳、汐止、平渓、士林、内湖、旧台北市内(艋舺・加蚋庄・大稻埕・中山区)、海山(中和・永和・土城・板橋等)、新荘、三重、蘆洲、五股、桃園、宜蘭、深坑、石碇、坪林等が含まれます。

  各地信徒の熱烈な要請に応えるため、關渡宮では迎え入れの行事に関する決まりを定め、地域によって時期を決めています。各庄の迎え入れは決まった日に行われ、当日に必ず關渡宮の媽祖を迎え入れることが出来るように調整されています。交通事情があまり発達していなかった時代には、複数の庄が連合して迎え入れる方式が採用され、現地の大型廟が關渡宮に数日間の迎え入れ申請を提出し、その後、各集落を巡るように調整されます。もしくは年間で神明を一組迎え入れて別々に祀り、交替で媽祖の祭典を主催します。關渡の媽祖は各集落をつなぐように巡ることになります。