文化的景観とは、神話・伝説・事跡・歴史事件・社会生活・儀式といった行為が関係する空間や環境を指し、人と自然環境が共同で創り上げる景観とも言えます。「文化遺産」と「自然遺産」の中間に介する文化的景観は、歴史事件・活動・人に関係する文化資源と自然資源を含みます。文化的景観は人と自然の共同作品で、人と自然環境の相互作用の結果であり、さまざまな形式で存在しています。

  アメリカでは文化的景観を、一定の歳月を経過した人と自然の相互作用と見なし、時空を超えた人と土地の関係性を表しています。地理学の観点からは、文化と自然資源が文化的景観の定義に含まれ、歴史事件・活動・個人ないし団体と結び付けられます。また、文化的景観は芸術、文化の叙事、文字による作品であり、地域の象徴的表現であり、経済全般とも関連しています。

  総合すると、文化的景観には以下の条件が含まれます:

  1.文化資産保存法の規定する歴史的・文化的・芸術的・科学的価値を有するもの。
  2.人と自然環境もしくは地域との相互作用によって生まれたもの。
  3.景観としての要素もしくは空間が現存し、具象として残っているもの。
  4.連続的・持続的・安定的といった特徴を持ち、いまだに作用しているもの。
  5.地域の神話・伝説・事跡・歴史事件・社会生活もしくは儀式に関連する空間ないし環境。

  以上に基づき、關渡宮を軸に自然条件と地理環境を加味し、人文・信仰・文学分野の範囲で關渡宮の特殊な文化的景観と文化特徴を一望します。