建造物の建設が完了すると、続いて内装工事が行われ、最後に空間を彩る室内外の装飾が施されます。内装や装飾は必ずしも実用的な意図を持ちませんが、実際には美と構造の表現、更にはメッセージ伝達の役割を担い、全体の空気感を作り出しています。内装と装飾は建築のテーマを表現する手段であり、文化の象徴でもあります。

  内装は建築物の構造躯体に加えて建築空間に施されるものを指し、人の感覚に作用する媒体として実質的な機能性と、仕上げ工事としての役割を持つことから、二次構造物とも呼ばれています。内装材と構造躯体は自由に構築され、基本的には屋根の外縁に造られる門や窓の部分と、室内の壁や仕切りといった空間設計の部分に分けられ、建造物全体の雛形を形成しています。

  建築装飾において、一般的に見られる伝統装飾は造形を通じて、「同音」「移情」「引申」「神話」「伝説」「忠孝節義」等を描写しています。具体的な表現方法は多岐に渡り、象徴、祈願、魔除け、表彰、美、寓意、比喩や隠喩等がありますが、造形物単体で意味を持つ場合と、他のものと組み合わせて解釈する場合があります。装飾の図柄は多種多様で、動植物、自然、幾何、文学、人物、物品等があるほか、時代の変遷によっても変化し、多元な装飾文化が形成されています。建築装飾の意義は、主に以下の3つに分けられます。

一、建築物の美化

  多種多様の装飾材・模様・色彩・質感・造形等を通じて、廟の外観と周囲の環境との融合を図ると同時に、廟としての美しい空間を演出し、環境を美化する役割を担っています。

二、吉祥物としての象徴

  模様には文字よりも深い意義が隠され、例えば「鰲魚」の図柄一つをとっても、「獨占鰲頭、科舉高中」(科挙で首位に立つ、ずば抜けた成績を収めること)の意味が込められています。「博古花卉図」は花瓶と草花を主題とした図柄ですが、「瓶」と「平」が中国語の発音では同音であることから、「平安」の意味が込められ、四季の草花と組み合わせて、「四季平安」と読み解くことができます。また、果物を盛った皿を「香花灯果」として神仏に捧げることで、敬虔な心を表し、平安と幸福を祈ります。

三、教化の役割

  「忠孝節義」の物語を背景として、勧善懲悪といった内容で人々を教化する役割を担います。例えば、封神演義の中で金剛力士・仁王が顕現した物語や、民間に伝わる「二十四孝」の言い伝え、八仙伝説等があります。これらの情景を再現することで、「忠、孝、節、義、智、信、勇」といった内容を人々に伝達しています。とくに財神洞傍の「媽祖神蹟石彫区」には、これらの物語が多く描かれています。