玉皇上帝はまたの名を玉皇大帝、玉天大帝、昊天上帝、皇天上帝、昊天玉皇上帝、玉皇大天尊玄穹高上帝、略称として玉帝や上帝と呼ばれ、俗に天公や天公祖とも呼ばれています。『宋史』の「巻八真宗紀」には「玉皇」を略称とする記述(制玉皇聖號冊文)や、玉皇上帝の全称(尊上玉皇聖號曰太上開天執符禦曆含真體道玉皇大天帝)が見られます。


  •   「玉皇上帝」はかつての昊天上帝で、天上の玉京に存在し、万物の始まりの元であり、至上の神格を持ち、天上天下の全ての天神・地神・人間と霊を管轄し、人々の運命を掌握しています。信仰の中で伝えられる玉皇上帝は天神国の凌霄殿に住み、人界の皇帝と同じように毎日天上の文官・五官・諸神を集結して天上天下から冥界に至るまでの実務をこなすと言われています。道教では「三清」(天界の最高位者)に次ぐ地位が認められ、民間では万物の主で宇宙を主宰する最も尊い天神と見なされています。道教では「天」にも多元の空間が存在し、それぞれ異なる統治者が存在すると考え、それらの天帝を一般に玉皇や玉帝と呼んでいました。六朝の時代になると、「三清」が道教における最高位神であることが確立されますが、人々は人界の最高統治者を皇帝と認め、天界の最高統治者は天帝であるという一般慣習的な概念が存在したことから、一部の道教では玉皇・玉帝を最高位の神格を指すものとして「三清」と結び付けています。

      一般には1月9日を天公生誕の日としています。1月9日は「陽九」を意味し、1月は四季の始まりで、九は陽数(奇数)が一から始まり九に終わることから最も大きく、このことから最高位の神明の生誕日として定められています。『台湾県志』『厦門志』『重修台湾県志』の中でも、1月9日の玉皇上帝生誕日に各家庭で祭事が行われることが記され、家の広間の梁から天公炉が下げられます。

      数千年に渡って玉皇上帝への信仰は存在していますが、最高位の神格で天上天下の諸神を司り、具体的な偶像を持たないため、ほとんどの民間の廟では偶像は無く「天公炉」が祀られています。唐代・宋代以降に玉皇大帝はようやく偶像化し、九章法服を着用し、十二行珠冠冕旒を頭部に戴き、手には玉笏を持っています。