正殿は關渡宮の主要な祭祀空間で、拝殿の13卓の供物机と、中央の机の下に祀られた虎爺を除いては、信徒が静かにお参りをする姿と、内装と装飾のみが目に映ります。主神は媽祖で、光明灯の壁は両側の側殿に分けて設置されています。媽祖殿の前には一列に欅の木製欄干が信徒と神明の空間に一線を画し、二階の欄干と画一的な配置となっています。「望柱」には浅浮彫りで花鳥が彫られ、上部には「雌雄獅座」(雌と雄の獅子をモチーフとした柱のパーツ)の装飾が施されています。「欄板」(囲い)には歴史物語が彫られ、真ん中の細長い部分には「夔龍纹飾」があり、文人の四芸と言われる琴・将棋・書・画を象徴しています。


  •   媽祖殿の両側には戦後初期に造られた龍柱と、一甲子(約60年と10日)以上の月日を積み重ねた「祈求吉慶」の石彫があり、中央には媽祖像、頭上には赤地に金箔を施した「關渡宮」のプレートが掲げられ、全体的に荘厳かつ温かみのある雰囲気を醸し出しています。媽祖の安座している神棚の上方には、螺旋状に渦巻く色彩豊かな「藻井」の天井、層状に積み上げられた「斗」と「栱」、二頭の龍に呼応する「翌天昭佑」のプレートがあります。また、上からは福・禄・寿三星が見守り、鳳凰と牡丹をモチーフとした装飾が対を成しています。殿内の「員光」「花罩」「神龕」はいずれも民間芸術の工芸家・黄亀理の作品となっています。